代表的な研究手法
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薬剤師の方は国家試験の勉強のときに「衛生薬学」という領域の中で、「疫学・統計解析」という分野を勉強したかと思いますので思い出して頂ければと思います。
大まかな分け方は右図のようなものではないでしょうか?
細かい分類になると各種参考書や、手っ取り早いところだとWikipediaなどを参考頂ければよいかと思います。
Wikipediaも結構系統だって説明されており、わかりやすいかと思います。
その場合は、臨床研究や疫学のページがよいかと思います。観察研究
観察研究を臨床研究の位置づけで捉えることが一般的だと思います。
線引きは難しく、議論が分かれるところではありますが、
研究を目的とするのではなく、自然状態の既存治療効果・疾病原因因子解析・副反応関連性等の
研究を観察するデザインであるのが特徴だと言えます。
あくまでも介入研究とは一線を画します。因果関係分析には症例対照研究やコホート研究のように関連の時間性を測定する研究デザインが必要です。
記述疫学
病気の発症頻度や分布を調べる事により、病気に関する特性を調べたり、病因の仮説を立てることが出来ます。
個人の調査で行うことが出来、簡便な研究手法といえます。
ジョン・スノウのコレラの研究がこれにあたります。
ただし、真の要因に至る科学的根拠までの追究はないため信頼性は乏しいとも言えます。
有名な話ですが、エイズ発症患者の初期調査では全員男性同性愛者という結果しか得られず、
「男性同性愛がエイズを起こす」と言う説に惑わされ、疾病予防対策は大きく影響したとも言われています。分析疫学
記述疫学で得られた仮説を検証する研究で2群(4分割)に分けて調査する
解析手法や結果の調べ方による分類があり、結果対照研究(患者対照研究・症例対象研究・ケースコントロール研究)・要因対照研究がある。分析疫学においては因果関係の妥当性に関わる基準を整備する必要がある。要は前提条件等が重要となる。
細かい研究デザインや例は別投稿で説明します。
介入研究
疾病と因果関係があると推測された要因に注目し、リスクファクターを除くなどの積極的な介入を行い(あるいは、要因を実験手的に加えることもある)、ある症例集団を一定期間観察のうえ因果関係を調査する手法
代表的な研究手法
・ランダム化比較試験、RCT:randomized controlled trial (無作為割付け試験とも言う)
対象者を介入群と非介入群(対照群)に分けて行う。
一方には実験的介入を、他方には偽薬(もしくは既存の治療法)を行ってから一定期間観察し、治療効果や有害反応の有無を観察する。
対象者や観察者(治療者や統計解析者)に所属群を明らかにしない二重盲検法(double blind)をとり、プラセボ効果によるバイアス除去も
とられることで信頼性を上げることもある。サンプリングバイアスの課題は残るため解析結果の解釈は慎重に行う必要がある。・前後比較研究(before-after study)
個人・集団を介入前後の2回以上の観察を行って比較する手法。観察者の主観は除去できない。・N-of-1試験
N-of-1試験では、複数の治療法や偽薬を、対象者ごとにランダムに実施し効果を観察する。・クロスオーバー試験
クロスオーバー試験では対象者を群に分けて、ある群ではAからBを、他群ではBからAの順に介入する。
各介入の間には治療効果(や副反応)が消えるのを待つための期間が設定される。二次研究
公開されている論文投稿のデータを対象とし、新たに再評価・整理を行う研究である。
・系統的文献レビュー(systematic review システマティック・レビュー)
ある研究テーマ・課題について先行発表している論文を対象とし収集する。それら集めた論文に記載されている傾向を記述・分析することで、
「何が判明していて、何が課題として残っているのか」という周辺情報を明らかにする。・メタアナリシス(meta-analysis)
ある研究テーマ・課題について、同様の研究デザインを採用した複数の研究報告から異なった結果が発表されている場合に、
それらを再集計することで高い精度で因果関係を予測する。(参考)
小学館 日本大百科全書
南江堂 はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修) -
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