データベースの特性
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先日、ちょっとした依頼がありまして、下記事項の統計情報を洗い出しました。
○FAERSにおける国別報告事項
○FAERSにおけるイベント(有害事象名)報告種類・数本稿では、これにプラスして
○JADERにおけるイベント(有害事象名)報告種類・数
も調査をしてみて、DBの特性について探りたいと思います。(1)FARESにおける国別ランキング
過去5年間と1年間に分けて、ベスト25を下の表に出しています。過去5年と1年を比較してもあまり意味がありませんが、
同じような顔ぶれであるようです。
自国で収集している自発報告有害事象データベースを持っている国
(例えば韓国では”KIDS-KD”と論文中に記載あり)も多くあります。FDAは、米国内で販売している薬については他国での有害事象報告もFDAに対して報告をするよう製薬企業に義務付けていますので、
世界中の報告が集まってきています。なので、薬の名前の整理をするときには一苦労も二苦労もしますが、それは別の稿にて。
(2)FARESにおけるイベントランキング
過去5年間と1年間に分けて、ベスト25を下の表に出しています。
用語は全てMedDAR(PT)です。とりわけ「この1年間だけ多かった」と言えるようなイベントも無さそうです。
ちなみにFAERSの最近の傾向ですと年間100万症例をゆうに超えるぐらい集まっています。
近々の1年では、140万症例程です。このリストを見ていかがでしょうか?
どのような印象を持たれますでしょうか?(3)JADERにおけるイベントランキング
これまでの公開版全てを対象として、ベスト25を下の表に出しています。
(2019年1月公開版までを含めています)JADERは皆さんでも簡単にランキングを出せるかと思いますので
1年間だけでなく、公開版全てを対象としたものだけを表にしています。皆さんは、上記JADERをご覧になってどのような印象を持たれますでしょうか?
・JADERとFAERSでは様相が違うぞ!
と思った方や、
・JADERでは重症例が多いな、間質性肺炎、肝機能異常、アナフィラキシー等、怖いものが多いな…
と思われた方がいらっしゃるかと思います。FARESにおいては、軽微な症状も細かく多く報告がなされており、症例報告のなかに詳細に記載されています。
JADERにおいては軽微なものは公開前のキュレーション段階で削除されています。過去に投稿した内容でも少し触れていますが、それぞれのDBにおいてやはり特性は異なります。
こうした特性については医療従事者の方はデータベースに触れるとピンと来るようです。
CzeekV Proについて一通り説明後、注目している薬剤でのイベントリストを見てもらうと
日常的に患者さんとコミュニケーションをとっていらっしゃる薬剤師さんほど
FAERSのリストのほうが感覚的に理解できる、
つまり、「よく目にする、耳にする副作用情報と、このDBの内容が肌感と一致する」といったご意見が出てきます。ということで、あくまでも不均衡分析ですが、その中で顕著に関連性を示すシグナルを出すものは
やはり要注意なイベントとして注目する必要性が高いものと言えるかと考えられます。一方、イベント発生日付などが細かくきれいに報告されているのは
JADERのほうだと言えます。
Time-to-onset・Weibull分析など時間軸を利用しての解析については、こちらのDBがよく利用されています。まとめ
●DBの特性には注意して研究・解析目的に合わせた利用が大事
●初期症状として注目するイベント等は軽微で多種類の報告があるFAERSも一役買いますなお、毎月のデータを入手し、キュレーションをかけていますので、
弊社内では、ランキングだけでなく、全リストも素早く出せるようにしています。
いろんな御要望があるかと思いますのでお気軽にお尋ねください。 -
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