DB研究 自主研究①
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2019年10月、古都京都において「第25回日本薬剤疫学会学術総会」「第12回国際薬剤疫学会アジア会議(ACPE)」(共催)が開催されました。
台風19号の影響により交通機関への影響も少なからず発生していたようで、
国内外から参加が叶わなかった方も若干いらっしゃったようです。
ポスター貼付に空きがあったり、オーラル発表での取り下げもあり残念ではありました。開催自体も危ぶまれる中でしたが、現地での風の影響はそれほどでもなく(会場が地下だったこともあり余り意識しませんでした)
多くの参加者によって盛況に会は開かれたかと存じます。弊社メンバーも本会に参加し、
これまでの医療データベース研究をさらに発展させた内容としてポスターにて研究発表しました。
当ブログにて複数回にわたってその内容を報告したいと思います。発表演題について~Spotlight poster presentations~
Title : Association between diabetes treatment and urinary tract infections
: An analysis using data from the JMDC claims database
Author: Akiko Tamon, Intage Healthcare Inc., Japan本投稿では、DB選定に至った理由や、その内容についての検討事項等は割愛します。
なぜならそれらプロセスの経験を経ての同じDBを用いた研究になるからです。
詳しくはこちらの投稿を御参考ください。
医療データベース研究①(データベース)。これまでの研究では薬剤と有害事象との関連性についてを
単純な薬剤選定のもと(単剤選定)解析を行ってきましたが、今回のリサーチクエスチョンは、
「併用による薬剤処方のケース」に注目したうえでの感染症との関連性調査としました。
SGLT2阻害薬は近位尿細管からのグルコース再吸収作用を阻害することにより血糖をコントロールするという機序を有しますが、尿糖が増加することによる尿路感染症の発症が懸念されているといった視点と、抗糖尿病薬では臨床上でも併用利用されることが多く、単独のみの評価では不十分ではないか?という疑問による視点から今回の調査へと発展しました。【方法】
対象とするDB:日本医療データセンター(JMDC)が保有するレセプトDB
調査期間:2015年4月~2017年3月
対象患者:SGLT2阻害薬を処方された患者
手法:SGLT2阻害薬を単独で処方された単独群 vs SGLT2阻害薬に加え、DPP4阻害薬、SU薬、ビグアナイド薬のいずれかを処方された併用群
暴露:薬剤はATC分類にて設定
アウトカム:尿路感染はICD10で定義性別・年齢・糖尿病重症度(糖尿病性合併症の有無)を共変量として、Cox比例ハザードモデルにて解析を行うこととしました。
【観察期間】
下図のように設定しています。
1.糖尿病治療薬が最初に処方された日を、観察開始日とする。
2.曝露終了日もしくはイベント発現日を、観察終了日とする。(いずれか早いほう)
3.糖尿病薬治療薬の変更、または、28日以上の投与間隔があると、観察終了とする。
4.処方終了も14日以内に尿路感染発症の場合は対象とする。
5.処方開始前に尿路感染がないこと(3ヶ月)観察期間に関しては会議上で何度もディスカッションをしました。
今回、併用による影響をみたいということも目的の1つですので
それに叶う設定が重要であるという認識のもと、定義には時間をかけました。
また、以前の研究では検討していなかったlook back periodについても加味設定しました。このあたりですが、MIHARI Projectの経験を踏まえての薬剤疫学研究実施における留意点を
PMDAから公表されていますのでその資料を参考としています。
DB研究の計画書記載方法や、特に留意するポイントについて言及されていますので
大変参考になるかと思います。
コチラ→「薬剤疫学研究実施における留意点」(PMDA)からどうぞ(外部サイトへ移動します)次回、結果に関して投稿したいと思います。
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