ヒストグラムページ機能 投与期間について
-
薬剤投与日から有害事象発生までの期間に表示される件数について
本稿では、主題の機能について説明します。
ヒストグラムのページでは、
下図で示す「薬剤投与日から有害事象発生までの期間」を示すテーブル、グラフがあります。このテーブルやグラフで表示されている件数については、
ぱっと見、わかりづらいかと思いますので順をおって詳細を説明します。テーブルの項目について
間隔:薬の投与日から有害事象発生日までの期間となります。
マイナスが出てくる理由を後述します。件数:上記間隔が計算された「薬剤-有害事象」の件数です。
一つの症例レポートの中でも同じ薬剤が投与されている場合はそれぞれをカウントしています。全件数(薬剤-有害事象):その「薬剤-有害事象」の組み合わせが記載されている症例レポート件数です。
単純に症例数を考えてもらって構いません。全体の割合:全件数のうち、上記の「件数」が何件あるのかをもとに計算しています。
マイナスが出てくるのはなんで?
本ブログを読まずとも分かる人は可愛い永遠の5歳女子に怒られずに済みそうですね。
とはいえ、分からなくとも”ぼーっと生きている”という因果関係はありませんのでご安心を。主な理由として下記があげられます
・記載ミス
・・・報告者による記載ミスです。これはしょうがありません。・投与日(≠処方日)を詳細に記載しており、発症日以降も飲んでいる情報を丁寧に報告している例
・・・この例を下記します。・リチャレンジによる投与で複数回同じ薬剤を用いている場合
・・・一度有害事象が出てストップしたが、期間をあけて再度投与した場合で
有害事象報告は最初の1回だけでリチャレンジによる有害事象発症がない場合。マイナスがでる例
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)と熱性譫妄(せんもう)に関して報告があがっている症例を調べます。
CzeekVを用いて検索してみると症例レポート件数は”5件”でした。
(データベースはJADER、2020年2月1日現在搭載のバージョンです。)この5件に関して詳細を見てみましょう。
CzeekVではレポート詳細画面で確認が可能です。
下に必要な情報を抜出したテーブルを表示します。識別番号:症例を識別するための番号、基本的には患者さんごとに別の番号がつきますが、同じ患者さんでも別の番号がつく可能性もあります。投与日や発症内容などをみて「同じだよなぁ」と思うこともよくあります。
熱盛譫妄:発症日を記載しています。
この例ではありませんが、同じ有害事象を複数報告している症例もあります。
システム上では一番最初の報告日を採用しています。医薬品連番:ここが複数あるときは複数回に及んで投与したことを示します。
投与開始日:薬剤の投与開始日です。
投与開始~発現までの日数:単純な計算で出しています。論文によってはこの日数の算出に手を加えています。
投与開始日≒処方日≠飲み始めた日という考えもあるようです。さて、
識別番号:AB-070256660 を見てください。
医薬品連番が001から003までついています。それぞれの投与開始日もわかります。有害事象「熱性譫妄(せんもう)」の発症日は2008/1/28です。
医薬品連番002の投与日は1/29なので日数はマイナス1です。
医薬品連番003の投与日は2/2なので日数はマイナス5です。まず、記載ミスでは無さそうです。
タミフルの処方についてはこのように連日になることは無く、
投与した日、つまり飲んだ日を詳細に記載したのかと思われます。となると、医薬品連番001に関しての有害事象を認識したものの、
投与をやめること無く、継続してタミフルを飲んでもらったという解釈のほうが現実的かと思います。あるいは、他薬剤を被疑薬として報告しているものの
タミフル投与の症例と重複してこのようなデータが見られた可能性もあります。
そのバイアス除去のためにはタミフルを被疑薬として設定したうえでの検索が重要になります。他の症例の場合は、マイナスの数が大きいものもあり、明らかにリチャレンジしているなと
思われるものもあります。症例の詳細は症例一覧から識別番号をクリックしてもらうことで確認できますので
適応疾患(インフルエンザ以外にもあります)の内容なども調べることが出来ます。これらの報告データをまとめて
投与開始日~発現までの日数と、日数ごとの行数(件数)のテーブルにすると、
下図のようになります。症例レポート件数は5件でしたが、
日数ごとの件数での合計値は 1+2+4+1=8 件 となりました。
この差はデータの詳細とシステム上での表記内容からやっと理解できるものかと思います。本ブログのような説明書きがこれまで無くて申し訳ございません。
今回、ユーザの方からの質問を頂きまして改めて投稿した次第です。まとめ
●発症までの期間のマイナスが出る理由はいろいろあり、ミス記載だけではありません。
リチャレンジによる投与がどのぐらいあるのかを俯瞰してみるという活用も出来ます。●システム上の表示だけでは詳細解析には向かないときもあるので
細かい解析を希望される場合は是非御相談ください。●有害事象が早く発症する薬剤は頂点が左上の山形ですが、
異なる例も色々あります。ご自身の注目する薬剤と有害事象でぜひ調べてみてください。タグ: -
お問合わせ
メルマガ登録