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COVID-19に関する薬剤の安全性情報を調べてみました。#有害事象DB(16)レムデシビル/べクルリー
COVID-19に対する抗ウイルス薬として承認された薬剤
レムデシビルは、2020年5月1日に米国においてEmergency Use Authorizationの承認を受けました。その後、日本においても、特例承認された医薬品です。
⑯一般名:レムデシビル(REMDESIVIR)
販売名:ベクルリー(VEKLURY)
薬効:抗ウィルス薬
対象疾患:SARS-CoV-2による感染症(COVID-19)
添付文書の効能・効果:SARS-CoV-2による感染症各DBで検索すると報告された症例数は以下の件数になっています。
FAERS:3270件
JADER:15件被疑薬(PS) に絞って検索した場合
FAERS:3111件
JADER:15件添付文書には副作用について、以下のように記載されています。
◆重大な副作用
1.急性腎障害:
・投与前及び投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
・添加物スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムの尿細管への蓄積により、腎機能障害が悪化するおそれがある。
非臨床試験でレムデシビルに腎尿細管への影響が認められている。腎機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。
2.肝機能障害:
ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は検査値異常(抱合型ビリルビン、ALP又はINRの異常)が認められた場合には、投与を中止すること。
3.過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む)
低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある。◆その他副作用
《1%以上3%未満》:悪心、ALT増加、AST増加、トランスアミナーゼ上昇
《0.2%以上1%未満》:貧血、嘔吐、便秘、下痢、駐車部位疼痛、疲労、発熱、高トランスアミナーゼ血症、注入に伴う反応、プロトロンビン時間延長、
肝酵素上昇、肝機能検査値上昇、糸球体、濾過率減少、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加、高トリグリセリド血症、頭痛、不動性めまい、
不眠症、発疹、そう痒症、静脈炎FAERS
FAERSでは既に3000件以上の報告がされていました。
スコアランキングの一部の状況を下図に記します。続いて、件数で多いもの順に並び替えたものを下図に表します。
JADER
JADERでは15症例の報告がありました。
スコアランキング、件数で多いもの順いずれも同じ順序となりました。シグナルが認められた腎機能障害は投与3~6日後、肝機能異常は投与0~1日後において発生していました。
FAERS、JADER共に添付文書に記載されている重大な副作用である「腎機能障害」「肝機能異常」「過敏症」に関連する事象が多く報告されている状況でした。
一方で、JADERで認められた「多臓器不全症候群」「急性心筋梗塞」については、FAERSでも報告されており、シグナルが検出されています。
海外の情報も参照にしつつ、今後も慎重な投与が必要と考えられます。