DB更新時のシグナル検出機能
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「どのような時にシグナル検出という解析をしたらいいでしょうか?」という質問を受けます。
立場、目的によって様々ですので回答に困りますが、
特に定期監視を担当としている方は、シグナル検出の解析タイミングの一つとして「データベース(DB)の更新時」が挙げられます。他には「患者さんからの訴えがあった時」(医療従事者)「医療機関から報告が入った時」(製薬企業解析担当等)「研究解析時」など様々です。
「まだスコア指標の閾値を超えておらず、シグナル検出されていないと判明している薬剤」を対象に
(あるいは、いずれかの指標では超えているが、他の指標も含めて継続監視としているもの等)
継続的にウォッチングしている際に、「DB更新時にどの指標がシグナル検出となったのかを発見したい」時に
この投稿で紹介する「DB更新時のシグナル検出」機能が役立ちます。また、注目薬剤と副作用との関連性を解析中に、
「他の薬剤による同イベントがどれぐらい出てきているのかを見たい」という場合にも役立ちます。
いずれにせよ、定点観測の一つのツールとして活用頂いているシーンが多いです。
DB更新前後の件数比較もできますので通常の検索でシグナル検出が判明した後に
こちらの機能で再度確認しているというケースも聞きます。JADERは毎月更新、FAERSは四半期に1回更新していますので、そのタイミングに合わせてというのが通例かと思います。
(CzeekV Pro のシステム上では公開後の翌月末に更新しています。)左図のように、直近のDB更新時に新たにシグナル検出された“薬剤*有害事象”をまとめてテーブルに表しています。
テーブルには4つのスコア値を表記しています。”新たに”というのは4つのスコアのいずれかで検出したらという意味になります。
既にあるスコア値で検出済みでも他のスコア値で”新たに”検出した場合は対象となります。左例だけでも各スコア値でシグナルの有無が分かれることが確認できます。
セルの色(白/黄色)と文字色(赤/黒)で下記のように内容を表示しています。
・黄色の網掛:直近のDB更新で新たにシグナルを検出したもの
・赤文字:シグナル検出しているもの(DB更新に関わらず)
・黒文字:シグナル検出されていないものログイン後には更に下記機能を活用できます。
★DBの切替えタブを選択することでJADER/FAERSの選択ができます。
★検索機能
★列の表示/非表示機能FAERSでは件数が多いので、
このテーブルを対象に検索機能で絞り込みます。
シンプルに「注目したい薬剤」を検索してシグナル検出の有無をチェック可能です。
検索できなければ”今期新たには”シグナル検出はされていません。検索できなかった時に注意したいのは、
『すでにいずれかのスコア指標にてシグナル検出されていて、今期は他の指標で新たにシグナル検出対象となっていないだけの可能性もある』ということです。
その場合はこの機能ではなく、通常の検索機能を用いたほうが良いです。4つの指標のうち一つでも”新たに”検出されていれば検索されます。
既にほか指標で検出されている場合はその指標の数値は赤色になっています。薬剤での検索以外に、注目有害事象(ケトアシドーシス等)、シグナル検出あり/なしでも検索できます。
重篤な副作用については必ずチェックする、その時にどんな薬剤が報告がされているのかを確認できます。目的によって機能の使い方、有効活用方法が様々ですが、一例を下記に紹介します。
右図のように
「シグナル検出」あり で、
「新たにシグナル検出」も ありで検索すると
”4つの指標とも今期で新たにシグナル検出した”
薬剤-有害事象 の組み合わせ群が表示されます。また、前回件数と今回件数も表示されますので、
DB更新前後での件数比較も可能です。
更新前後での差が多いものほど報告数が顕著にあがったものになります。仮に”4つの指標”全てでシグナル検出され、”件数”も前回から顕著に増えていた場合は
十分注目する有害事象である(さらなる詳細な解析が必要)と言えます。
ただし、報告バイアスのケースも見捨てられないので頭の片隅には置いておいたほうがいいでしょう。まとめ
●定期ウォッチングに便利
●検出時には更新前との件数比較ができる
●注目する有害事象(間質性肺疾患やケトアシドーシス等)も検索可能件数が1件しか増えていなくてもシグナル検出されるケースが多いことがわかります。
また件数が変わらずともスコア指標が閾値を超えるケールがあることもわかります。「こんな使い方は出来ませんか?」
「こんな目的のためにどう使えばいいでしょうか?」など
ご質問があれば、お問合わせから御連絡頂ければと存じます。 -
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