ヒストグラム レポート数の推移、スコア値の推移
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注目した薬剤と有害事象と相関を探索するためにレポート数・スコア値の推移を確認します。
以下は、「タミフル」と「異常行動」の関連性を探索した例です。累計の時系列ヒストグラム
右図は累計のヒストグラムで
FAERSを対象として全世界のデータを並べたものになります。
2003年1期から報告増えてきているのが分かります。
実際には1999年から報告はありますがグラフの描画特性上、少ない件数が見落とされがちです。累計の時系列ヒストグラム 日本
右図は累計のヒストグラムで
FAERSを対象として日本国のデータを並べたものになります。
こちらは2006年1期から報告が始まっているのが分かります。こうした累計のヒストグラムにプラスして、
各スコア値のヒストグラムも確認してみます。
下の図が4つのスコアのヒストグラムを作成したものです。
データベースはFAERSで、全世界のデータを対象に計算したものです。FDAのスコア値(GPS)は、2006年1期から閾値を超えており、シグナル検知しています。
WHO(IC)のスコア値2004年1期からシグナル検知、
EMA(PRR)のスコアは2000年1期に一度閾値を超えています。計算手法により感度高く検知しているのが分かります。
その後閾値を下回り、2003年に再度閾値を超えています。
Lareb(ROR)のスコアは2004年1期からシグナルを検知しています。
(シグナル検知とは指標:閾値を超えていることを意味しています)このように、スポットでみた場合は、同じ報告件数でも各スコア指標でシグナル検知有無が分かれることが分かるかと思います。
長期的傾向を見れば似たような右肩あがりのグラフになっていることも分かるかと思います。
とはいえ、因果関係の断定にはなりません。データなので積み上がるのは当然で、右肩上がりになるのはある程度許容すべき範囲があります。
不均衡分析においても注意すべき事項の一つです。DB:JADER
一方、右図はJADERのデータベースでの期毎・累計の時系列ヒストグラムです。
報告件数が増えてくるのが、2006年あたりとFAERSに比べて遅いことがわかります。
FAERSにおける日本だけのデータと少し似ています。期毎の類型別のヒストグラムをみると、2007年に急激にグラフが上がっていることも分かります。
この報告件数急増の原因は詳細に調査をすべき対象となります。
・インフルエンザの流行
・マスコミ発表による報告バイアス など、
多くの要因があるかと思います。スコア値ヒストグラム
ちなみに、JADERのデータベースを対象にしたFDAのスコア値のヒストグラムは右図となります。
報告が出始めて早い時期(まだ少ないのではないか?と思われる時期)にシグナル検知しています。
「異常行動」という一般的には特徴的な有害事象が「タミフル」という薬剤の有害事象報告において、
他薬剤に比較してより特異的に現れていることが分かります。
FDAスコアでは少ない症例件数でも正確な値が出る統計手法を採用しています。まとめ
●時系列監視が必要(経時的なウォッチングが必要)
●グラフの増減(が意味するところ)が探索に活用可能
●先行的に蓄積される世界のデータを参照することも可能グラフの増減の変化点を見極め、CheckPointとしてウォッチするような研究報告もあります。
薬剤疫学の常として、科学的根拠に変えて(探索結果として)因果関係の断定は出来ませんが、
検証・探索すべき内容を簡易的に見つけることが出来ます。 -
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