カウント方法について(オーダー機能)
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本稿では、CzeekV”オーダー機能”のデータセット内容(選択肢)にもある「カウント手法」について説明します。
オーダーとはのページに記載の通り、
CzeekV Proでは、薬剤と有害事象の関連性評価に際して不均衡分析を行っています。これはCzeekV Proにも搭載している自発報告有害事象データベースを対象として「処方全体の数値は不明だが、報告されている情報のみを用いて関連性を評価する目的」としてシグナルディテクションの際に一つの手段として取り入れられている解析手法で,各当局でも取り扱っています。
その際には下記分割表をイメージしてそれぞれのセルのカウント値を求めてから計算を実施します。
カウントとは、
「注目する薬剤と同時に報告されている有害事象の数を計測すること」です。
その薬剤が報告されている症例レポートのうち、有害事象報告欄に記載の内容をチェックして
注目する有害事象を数えます。
全症例レポートを対象としてそのカウントを行い、上図の2*2の分割表に集約します。さて、そのカウント手法について、オーダー機能のオーダー様式には
①症状レポート数
②有害事象数(シングルカウント)
③有害事象数(コンビネーションカウント)
の、3つの選択肢を用意しています。本稿のゴールとしては、この3つの違いを理解することになります。
JADERのDB構造については、コチラにて紹介しましたのでデータテーブル構成等を思い出してください。
下記にJADERでのサンプル症例を取り出し、データテーブルを記載します。
識別番号とは症例を示す番号となります。同じ番号ですので一つの症例を示します。
投与日や発現日は便宜上「YYYY/MM/DD」としていますが、同じ日を表してはいません。
(「YYYY/MM/DD」の記載形式での記載が多いです)投与された薬剤が「医薬品情報テーブル」に記載されています。
この他にも用量・使用理由なども情報としてはありますが、今は割愛しています。発現をみられた症状が「副作用情報テーブル」に記載されています。
(細かく言うと、この症状とは”有害事象”ですが、JADER定義上”副作用”情報テーブルとしています)上図で示すとおり、
「医薬品情報テーブル」にも、「副作用情報テーブル」にも
重複された用語が記載されています。(赤枠でくくっているところです。)この、同じ用語で複数の記載があるものをどう取り扱うのかがカウント値に影響します。
①症例レポート数
症例レポート数をカウントする場合は、一つの症例報告内に複数の同じ用語があっても一つとしか数えません。
つまり、症例番号の区別のみをしていることになります。
上図の例ですと、
各薬剤の報告の種類がそれぞれ一つとカウントされます。
有害事象も報告の種類がそれぞれ一つとカウントされます。
組み合わせをカウントする場合は「クラリスロマイシン−発熱性好中球減少症」1件、
「パリビズマブ−クロストリジウム感染」1件のようにカウントします。②副作用数(シングルカウント)
上図の例ですと「播種性血管内凝固」が2回出てきます。
これはおそらく発現日が異なるゆえだと思われますが、この有害事象を”2回”とカウントすることが
副作用数のカウントになります。
症例レポート数では識別番号を対象としますが、
副作用数では有害事象用語に注目して重複があってもカウントします。
組み合わせをカウントする場合は「クラリスロマイシン−播種性血管内凝固」2件、
「パリビズマブ−播種性血管内凝固」2件のようにカウントします。
パリビズマブは3件記載されていますが、薬剤を複数回組み合わせカウントすることは基本的にありません。
後述するように投与日を考慮するときには貴重な情報となります。③副作用数(コンビネーション)
有害事象の要因は報告された薬剤のどれが起因するものかは不明であり、
そのディテクションのために解析をします。
それゆえ単純な副作用件数のみを頼りとせず、
有害事象の発生件数を「薬剤の種類数*有害事象の報告数」分だけカウントする手法がこの方法となります。
下図のように、各薬剤がいずれかの有害事象にも関連性があるかもしれないという組み合わせを考えます。
6種類の薬剤に対して、6種類の有害事象報告がある場合は 6*6=36の有害事象件数があり、
組み合わせとしての「クラリスロマイシン−腹痛」の関連はそのうちの1件であり、
「クラリスロマイシン−その他の関連」5件というカウント手法になります。
設定群(2*2の分割表の上の行)は影響ありません。母数が増えることにより、対照群に影響がでます。
発現日を考慮した場合
有害事象発現前の投与薬はカウントしないという手法もあります。
投与日・発現日を考慮した場合(DBに記載がきちんとしてあり考慮できる場合)、
ある注目薬剤の投与日以降に発現した有害事象のみをカウントしたい場合は、
発現日にも着目してカウントすることも可能です。下図のように、カウント対象となる有害事象は絞られます。
この場合、対照群の設定にも同様の考慮を加味する必要があります。(詳細は割愛します)コンビネーションカウントの時に、用語の重複をどのように扱うべきか、や、
発現日を考慮した時の全体カウント値をどうすべきなのか?などなど、実際に手を動かして計算してみると
いろんな検討事項が発生してきます。”やっていてこの場合はどうすれば良いのか?”と、解釈に困ることも出てきます。
その意味で細かいところはまだオーソライズされていません。不均衡分析は大量ビッグデータの中からの関連性があるかもしれないというシグナル検知の一つです。
細かい設定が恣意的な結果につながる危険性があることも承知しておかなければならないと思われます。まとめ
○カウント手法の違いを理解する
○症例報告数と有害事象報告件数は異なることを理解する。
○モニタリング時には、カウント手法を統一すること細かいところの説明は省き、簡略的なものを目指しました。
詳細についてご質問、ご指摘があればご連絡ください。 -
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