通常PVPにおけるシグナル管理(2) ~アクション1 JADER を用いた報告件数・シグナル値の確認~
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シグナル管理に関する投稿2回目です。
まず、シグナル検証における各アクションについてイメージしやすいように
全アクションに共通となる仮のストーリー設定をしたいと思います。架空のケースを設定します。
例えば以下のシーン(アクションを進める上での1つのストーリー)を思い浮かべて進めて行きたいと思います。
”糖尿病治療薬である「インテージック」について、2021年12月に2件の「間質性肺疾患」の追加報告がありました。
この報告を受けて、安全対策をとるべきかどうかの判断を行いたいと考えています。
アクション1~7をもとにシグナル検証・評価をおこなし、安全対策の要否を検討、判断します。”
薬剤:インテージック(もちろん仮名) DPP4阻害薬
有害事象報告:間質性肺疾患今回はシグナル評価ステップにおけるアクションの1つ目をご紹介します。
アクション1 JADER を用いた報告件数・シグナル値の確認
アクション1の目的は、対象薬剤の副作用報告状況を確認となります。
糖尿病治療薬インテージックにおける間質性肺疾患の現在の報告状況を確認します。[方法]CzeekV Pro の検索機能を用いて確認します。
CzeekV トップページ検索
検索のみで結果をすぐに確認できます。
CzeekV Pro(以下、CzeekV)では、トップページに検索ボックスを用意しています。
薬剤名で検索することで、関連性のあるイベント結果が一覧ですぐに確認できるようになっています。
下の図はインテージックで検索すると271件の報告があることや、
右側に関連あるイベント一覧において「間質性肺疾患」を検索すると
271件のうち、3件の間質性肺疾患イベントの症例報告があることを確認できていることを示しています。検索結果
シグナル検知としてのスコア値も確認できます。
CzeekVでは、シグナル検知に用いられるスコア指標を搭載しています。
詳細な情報を別ページにまとめており、例えば下図で確認できるような
テーブルも確認できるようになっています。詳細情報(スコア値)
このテーブルにおいて、イベント「間質性肺疾患」を検索することで
件数だけでなく、スコアの値も確認できます。
スコアについては当ブログの
『データマイニングとシグナルディテクションについて』
もご参照ください。結果
症例数、スコア値を見ると、
間質性肺疾患は3件、スコアはシグナル検知なし(閾値をこえていない)
という結果を得られます。
この結果だけではシグナル検証は終わりません。JADERは公開されているデータはおよそ3ヶ月前までに収集されているものとなっていますでタイムラグが存在します。
また、システム搭載までという運用上のラグもありますのでおよそ4ヶ月前のデータと捉えた場合ですと、
「発売日以降、4ヶ月前までは間質性肺疾患の報告が3件あった」と考えたほうが良さそうです。それに対して、この12月で2件追加報告があったことになります。
この追加の報告がやはり気になります。次稿はアクション2 処方データの確認となります。
(補足)
JADERを用いたデータマイニングについては研究発表の際に気をつけること、という視点で
学会誌に投稿されていますので、その内容を紹介した過去投稿(下記)もご参照ください。
「JADERを用いたデータマイニング(主に不均衡分析によるシグナル検出)の研究発表の際に留意すべきチェックリスト」について
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